この記事では、MagentoのSaaS（Software as a Service）とはなんなのか、そしてこのプラットフォームがビジネスにどのように貢献できるのかを解説します。
Magentoとは
Magentoは、オンラインストアを作成するためのプラットフォームです。2007年からリリースされ、それ以降、多くのアップデートが行われてきました。2018年にはAdobeによって買収され、その機能と信頼性はさらに向上しています。無料のオープンソース版である「Magento Open Source」と、有償版の「Adobe Commerce」が存在します。Magento Open Sourceは無料ですが、自分で初期設定やメンテナンスを行う必要があります。Adobe Commerceは有料ですが、多くの追加機能とサポートが付いています。Magentoは非常に多機能かつ拡張性のあるプラットフォームであり、個人から大企業までが幅広くMagentoを利用しています。WooCommerceやShopifyといった他のECサイト構築のためのソフトウェアと比べても、Magentoは多くのプラグインやテンプレートが用意されており、実装したい機能を自由にカスタマイズすることができます。ただし、このように多機能性が高い反面、Magentoを構築・運用する際には専門的な知識が必要です。
SaaSとは
SaaSは、Software as a Serviceの略称で、クラウド上でソフトウェアを提供するサービスです。自社でハードウェアやソフトウェアを開発・運用するのとは違い、SaaSの運用会社が開発・運用を行い、SaaSを利用する顧客は代わりにサービス利用料（トライアル版などは無料の場合もある）を払って初期コストやメンテナンス費用なしにソフトウェアサービスを利用することができます。SaaSの代表的な例としては、ChatworkやSlack、Zoom、Google Driveなどがあります。
このセクションでは、SaaSのメリットとデメリット、そしてビジネスにおいてなぜこれが重要なのかを探ります。
SaaSのメリット
SaaSは、自社でハードウェアやソフトウェアのインフラを整える必要がないため、設定費用が抑えられるというのが大きなメリットです。必要な期間のみSaaSのサービスを契約することで、効率的にコストを削減することができます。また、メンテナンスも不要であり、サービス提供者がメンテナンスやアップデートを行ってくれます。その代わり定期的にサービス利用料を支払う必要がありますが、メンテナンスやエラーの処理等にかかる人件費と比べると安いといえるでしょう。さらに、SaaSはインターネットさえあれば、どこからでもサービスにアクセスできます。特定の機器にて作業をする必要がないため、仕事の幅が広がります。加えて、複数人で同時にサービスを利用することができるようになっています。
SaaSのデメリット
データはクラウド上に保存されるため、自社で管理するサービスと比べて、セキュリティが気になる方もいるかもしれません。また、自社で管理するソフトウェアに比べてカスタマイズに制限があります。自社で開発したソフトウェアであれば様々な機能に変更を加えることが可能ですが、SaaSのサービスの拡張性はサービスを提供している企業に依存するため、希望する機能を搭載できない可能性があります。また、コストという観点から見ると、初期費用は少ないものの、継続的に費用が発生するという点がデメリットと考えることができます。
なぜSaaSがビジネスに適しているのか
事業のスピードが求められる現代において、SaaSはすぐに導入して利用することができる点で優れています。自分達でハードウェアやソフトウェアを用意してそれをビジネスに導入しようとすると、非常に時間がかかりますが、SaaSはサービスを提供している企業がインフラの整備からメンテナンスまでを全て行ってくれるため、時間の短縮になります。また、SaaSは利用したい期間や人数、データ容量等に応じて金額を払うサービスです。そのため、ビジネスが拡大した場合も、縮小した場合も、柔軟に対応することができます。また、仮に事業を辞めるとなった場合、自社でサービスを構築していた場合は構築にかかった費用が無駄になってしまいますが、SaaSでサービスを利用していた場合はただ契約を解除してサービスを終了するだけで良いので、コストが抑えられるというメリットもあります。このような観点から、SaaSはTCO（Total Cost of Ownership：ICTシステムを導入する際の初期費用やメンテナンス費用等にかかる総所有コスト）が削減できる場合が多く、長期的には非常にコスト効率がいいです。
MagentoとSaaS
Magentoの有償版であるAdobe Commerceには、SaaS機能があります。Adobe Commerceは独自のサーバーでローカルにホストして開発することも可能ですが、Adobe Commerce クラウド版も存在しています。ローカルなハードウェアやソフトウェアに対してリソースを割く必要性がないので、より早く、より楽にECサイトを構築することができます。Adobe Commerce クラウド版では、開発のための初期費用を抑えることができ、インフラエンジニアの確保が不要になるため、TCO（総保有コスト）が安く抑えられるほか、長期的にサポートを受けられるため、何か問題が起きたとしても安心して相談することができます。ただし、フロントエンドやバックエンドの設定・開発は必要なので、それらに精通したIT人材等の確保は必要です。また、サイトの処理速度も比較的早く、拡張性が高いという特徴もあります。ECサイトを運営する上でのニーズに合わせたカスタマイズが可能となっているので、自分好みのECサイトを構築することができます。加えて、Adobe Commerce クラウド版はセキュリティ強化にも力を入れており、不正アクセスやデータ漏洩への対策がしっかりと行われています。実際、様々な企業が導入し、オンラインストアを安定して運用しています。
Adobe Commerce クラウド版と他のeコマースプラットフォームとの比較
Adobe Commerce クラウド版と他のeコマースプラットフォームとの比較をご紹介します。
Shopifyとの比較
Magento（Adobe Commerce クラウド版）とShopifyは、それぞれ異なる強みと弱みがあります。Magentoは多機能性に優れ、Shopifyはユーザーフレンドリーに優れています。言い換えると、Magentoは豊富なプラグインとカスタマイズの柔軟性があり、Shopifyは使いやすさと速度に優れているということです。このような特徴から、Magentoは大規模なオンラインストアに適している一方で、Shopifyは小規模から中規模のビジネスに適しています。
ebisumartとの比較
Adobe Commerce クラウド版とebisumartはどちらもEコマースを提供するプラットフォームですが、いくつかの違いがあります。
まず、ターゲットオーディエンスが異なります。ebisumartは主に日本の企業を対象としています。一方で、Adobe Commerce Cloudは日本企業のみならず、グローバル市場における中小企業から大企業までを対象としています。
機能面では、ebisumartは使いやすいインターフェースと基本的なEコマース機能を提供し、特に日本市場向けのゲートウェイ決済が可能といった側面があります。Adobe Commerce クラウド版は使いこなすのに専門的な知識を要しますが、高度なカスタマイズが可能であり、AI・機械学習を活用したデータ分析や豊富なプラグインなどを利用できることが特徴です。
ebisumartは比較的短期間・低コストでEコマースを始める日本企業に向いていると言え、Adobe Commerce クラウド版は拡張性と高度なカスタマイズが求められる企業に向いていると言えるでしょう。それぞれのビジネスニーズによって、適したプラットフォームを選択することが求められます。
まとめ
MagentoのSaaSであるAdobe Commerce クラウド版はその多機能性と拡張性で多くのビジネスに適用可能です。費用、運用面でも柔軟性があります。
当社Digital-Freeでは、50を超えるMagento（Adobe commerce）によるECサイト構築及びコンサルティング対応実績があります。ご相談やお見積もり、各種提案のご依頼については「お問い合わせ」ボタンよりご連絡ください。