オンラインのネット上でECサイトでのビジネスを始めてみたい、またはすでに運営しているけど更に多くの売上を目指していきたいというときに、Amazonや楽天などのプラットフォームから、ASPやクラウド、パッケージソフトウェアなど様々な選択肢があり、またそれぞれにもさまざまな特徴があることから、どれを選べばいいかわかからないという不安もあるのではないでしょうか?

予算であったり売上であったり色々な観点から選び方を考えるべきですが、一つの観点を軸にした選択方法が記された記事しか見当たらなかったことから、本記記事では様々な観点を元に採用すべきプラン選択を考えられるようにまとめて徹底解説しますので検討の際の資料としてお役立ていただければ何よりです。

ここで言う予算というのはECサイトを始めるために特別に用意すべき予算で、仕入れや社内人件費は除きます。
また始めるために必要な予算ですから、月額などのランニングコストも含まれません。

予算額 選ぶべきプラットフォーム
無料〜100万円 Amazonや楽天などのプラットフォーム。アカウントを作成してログイン、商品情報を掲載するだけで販売が可能になるため最も手軽。独自の販促の施策を打つに制限があり、SEO対策などはできない。
100万円〜300万円 Make Shopやショップサーブ、BaseなどのASP。
ASPにしてもテンプレートを選んだのちにページ作成の上で独自ドメインを用いてサイト公開とい過程があり、また開店時から継続してPRに必要な予算もあるため、最大300万くらいかかると考えておきたいところ。たまごリピートなど、定期購入のためのプラットフォームなど種類も豊富。ある程度の販促が可能になる。細やかなSEO対策などはできない。
300万円〜1500万円 EC-CUBE(EC-CUBEをベースとしたEC-Orangeも含む)、Shopify(初心者向けに強い)やオープンソース版Magento(上級者向けに強い)ほか、インストール型のパッケージまたはクラウドプラットフォーム。ただしサイト制作費用もテーマを用いるなどを前提としたミニマムとしての300万なので、PRやマーケティング費用も合わせ500万円位からが実質的に必要な初期予算であることは要確認。独自の販促が大幅に可能になる。ただし、MagentoやShopifyではSEO対策を細やかに自動化するなどが可能な反面、国産のEC-Cubeでは完全に不足する。
1500万円〜 Adobe Commerce(有料版Magento)、C/4 HANA(旧Hybris)、Salesforce Commerce(旧Demandware)。基本的な機能性の網羅はもちろんのこと詳細なビジネス要求に対する対策の適用が可能など多くの柔軟性がある。

説明

AmazonではFBAを使うことがほぼ必須条件と考えてよく、圧倒的な集客力と購入件数の差が出るために、そのために必要な月額数千円程度の大口アカウントが基本的に必要になります。しかし初期導入費用ではなくランニングコストですので、初期導入費用としては0円から始められる点は大きなポイントです。
楽天でもAmazonに対抗し初期導入費用などが安い反面、販売手数料を高めに設定されたプランが用意されていますが、楽天はAmazonに比べて販売事業者の店舗としての色が強く出るプラットフォームであるため、ストアのデザインと実装を外部に委託する場合、その費用が初期に必要となります。
またAmazonと比べ楽天はプラットフォーム内で広告を出して行かなければ後発参入者が集客できず入りにくいという事情があるため、初期段階からPR予算も必要になってくる傾向にあります。
Amazonはマーケットプレイス型、楽天はモール型などと呼ばれたりもします。

MakeShopやショップサーブ、BaseのASP(ネットショップと呼ばれたりもしますね。)では、ストアのデザインと実装が主な初期導入コストになります。
オリジナルの画面デザインを適用できる幅が増えるため、HTMLやCSSなどの知識が必要となり、利用申込後にアカウント開設後、制作会社に依頼することが多く、およそこのくらいの予算感で開店に至ります。
EC-Cubeも同じくらいの予算で開店するケースが多いのですが、オープンソースであるためカスタマイズすればどんな機能でも追加できると思われがちです。
しかし、確かにオープンソースではありますが、大きなビジネスを行うためのプラットフォームではないため、その規模のビジネスを行うためのアーキテクチャも機能もなく(特に問題が大きいのはセキュリティの脆弱性)、そこを無理やりカスタマイズしていき、結局3千万くらい投資したという話はよく耳にします。
そうであれば費用的や時間、及びリスクなど長期的な観点から、早い段階で上位のプランを選んでおきたいところです。

オープンソース版のMagentoやShopifyは、標準機能が初めから多く搭載されており、個人レベルから小規模・中規模くらいのビジネス目的までは想定されています。
機能が豊富であるということはきちんとしたシステム設計や、マーケティング戦略などが重要な要素となり、より高い専門性が求められることになります。
この段階からシステムや販売におけるビジネスのコンサルティング的要素も備わった専門家を選定し、導入していくことが重要となります。

Magento CloudやC/4 HANA、Salesforce Commerceは、その利用料金もエンタープライズな費用です。
導入におけるコンサルティングやシステム設計のボリュームも大きくなります。
しかしプラットフォームとしてそれだけ大規模な取引量に耐えるだけの堅牢性やサポート体制、セキュリティ対策などが含まれています。
当然、これらのプラットフォームを取り扱う専門家は国内でも限られた数となってきます。

予算規模が大きなるにつれ、ベンダー側、発注者側のいずれにも要求されるノウハウが高くなっていく傾向もあり、メリットとデメリットは必ず付き纏います。

2. 狙いたい売上規模から選ぶ

各プラットフォームによって、狙える売上額が変わってきます。
Amazonや楽天などのプラットフォームでは、もともとプラットフォームについている顧客がいるため立ち上がりが早い分、売れる上限にもすぐ達してしまいその先伸びることができないということを覚えておいてください。手軽さから言えば、初めてオンライン販売を行いという点においては圧倒的におすすめです。ここでうまく販売していけない場合、その先のステップに進む前に立ち止まるべきです。
ASPでは表現したいマーケティング手法や、デジタルマーケティングを駆使した販売に制約があるため、そこに上限があります。
売上の上限に制限がなく青天井なのはパッケージやクラウド型のプラットフォームですが、選ぶプラットフォームにもそれぞれの限界があります。

狙いたい売上(年商) 選ぶべきプラットフォーム
〜数千万円 Amazon、楽天
数千万円〜数千万円 Max1億円 Make Shopやショップサーブ、BaseなどのASP。またはEC-Cube。
数千万円〜5億円 Max5億円 オープンソース版Magento、Shopify
1億円〜 Magento Cloud、C/4 HANA、Salesforce Commerce

説明

実際に当社のお客様もAmazonや楽天も併用して販売を行っているケースも多くあり、一番多く販売しているケースで年商1億円ほどですが、数千万円ほどで上限に達してるケースがほとんどです。ユーザー数や競争によってこの上限が来ます。なお海外ではもう少しこの上限が伸び、eBayで3億のプレイヤーとなっている当社のお客様が数件いらっしゃいます。
Amazonにせよ楽天にせよ、約15%は販売価格から差し引かれ、さらに送料も発生しているので利益率が低い中でこの販売金額であることは忘れてはいけません。

Amazonや楽天でのPRやマーケティング戦略アプローチについては実質皆無に近いと言えますが、ASPは自社ドメインで運用が出来る分Googleでのリスティング広告戦略やコンテンツマーケティングなどを行う幅が生まれ、いくらかその上限が伸びます。
EC-Cubeはパッケージなので青天井というのは理論上の話だけで、商品点数数百点から速度劣化する、クレジットカード情報がろえいすると言ったセキュリティ事故が何年かに1回のペースで同時多発的に発生した経緯をみると、巨額のビジネスを行うにはリスクが大きいという懸念があり、ここに位置付けしています。

Shopifyは機能豊富で堅牢なクラウド基盤ですが、それでも大規模サイトを運営するにあたって機能面や運用面において制約があり、最上位の位置づけとはしていません。
オープンソース版のMagentoについては、制約はありませんが、ベンダーサポートがなく、コミュニティ依存になるという点で、ここに位置付けしました。

Magento CloudやC/4 HANA(旧Hybris)、Salesforce Commerce(旧Demandware)は開発における投資額が数百億円クラスであり、それに見合ったビジネスを行うためのプラットフォームで、大規模ビジネスを支えるプラットフォームとしての実績も申し分ありません。

3. ビジネスの戦略から選ぶ

仮にECサイトで物販を行うにしても、取り扱う対象の商品であったり、人、業種によって戦略が異なってきます。
その戦略に応じて適したプラットフォームを考察します。もちろん併用でも構いません。

戦略 選ぶべきプラットフォーム
会社名やブランド名、店舗名は気にせずアカウント登録、商品登録、受けた注文に対しての配送業務だけで手っ取り早く売上を上げたい。 Amazon
会社やブランド、店舗名を出していきたい。(それ以上のことは今は望まない) MakeShopやショップサーブなどのASPカート。またはパッケージとしてはではEC-Cube。
越境も考慮して会社、店舗名やブランドを出していきたい。
または後に本格的なビジネスに向けての現段階では基本的要素のみのスモールスタートサイトの立ち上げを考えている。
オープンソース版MagentoまたはShopify
ECサイトがビジネスの根幹にあり絶対的な安定性が要求される。またはECサイトの業績が会社の業績に大きな影響を与える。
デジタルマーケティングを駆使し、基幹システムとの自動連携を行うなど本格的な運営を行いたい。
最も自由度が高い、充実した機能が搭載されている、細やかなデータ分析が可能なプラットフォームを選択する必要がある。
単品通販も含む大手の通販事業者の業界や大企業、実店舗との総合運用、業務効率化の徹底が必要なケースにおいて活用されることが多い。
Magento Cloud、C/4 HANA、Salesforce Commerce

説明

Amazonは商品に客がつくと言われ、またプラットフォームの性質上1つの商品ページに対し、複数の販売者が連なることになります。
Amazonの出品者情報として社名やストア名を出せますが、例えばリピート顧客であっても、そのときに安い他者の出品があれば簡単にそちらに流れてしまうという性質があり、会社やブランドに顧客がつくということはまずないと考えて良いです。
戦略面では圧倒的に価格競争要素が強く、むしろそれだけしかないと言っても過言ではありません。
ただし商品の在庫はFBAに保管する形でなければそもそもその競争にすら入ることができないということも重要です。

※FBAはおすすめです。あれだけのことをやってくれてあの料金というのはAmazonという大規模なプラットフォームや運営体制があったこそであると思います。
特に越境でAmazon USなどで販売する際は、アメリカ以外の国内に出荷されることがあり、商品未着といったリスクをAmazon側が受け持ってもらえるということは大きいです。
ある程度の規模(要するにAmazonのひとつ上位規模)まではFBAのマルティチャネルでフルフィルメント業務を委託するほうがコストメリットが大きいくなっても来ます。

ASPやEC-Cube、また楽天では自分のストアを独自運営する際の入り口になります。
ただし楽天はあくまで楽天の中に出店されたストアです。
ASPでは自分のドメインで運用し、1つのWebサイトを運営するということが可能です。
ただしASPで提供されている機能でのアプローチしかできないため、それ以上のことは望めません。
EC-Cubeについては先に述べたとおり大規模に耐えられる設計ではなく、また機能も少ないためそこを無理してカスタマイズを行うのであれば、その上位のほうが結果的に安く早く安心という三拍子の結果になるため、実質的にここに位置づけられることになります。

オープンソース版MagentoやShopifyでは、ほぼできないことはないと言っていいでしょう。
しかしオープンソース版Magentoはサポートがコミュニティ依存になる、また機能豊富であるが故にソースコード量も多く大変難しいソフトウェアであることにも関わらず、ちょっと触った程度でMagentoできますといったベンダーが国内に増えてきており、その技量に大きく差がある点は否めません。要注意です。
Shopifyについてはオープンソース版Magentoに比べプラットフォームがSaas型のクラウドであるという堅牢性とメンテナンスフリーである点がメリットとなります。
ただし機能面や運用面での操作性に置いて大規模運営を行うにあたってはやや懸念はあります。またShopifyの日本国内への参入がつい最近であるため、Magento界隈と比べると、取り扱えるベンダーの経験値が気になるところです。(具体的なShopifyとMagentoの比較については別途記事がありますのでこちらをご覧ください。Magento と Shopify 人気のECサイトプラットフォームをディープに比較
そういった観点で、本格的な運用を見据えたスモールスタートの販売環境を展開するには最適な環境であると言えます。

Magento Cloud (現Adobe Commerce Cloud)、C/4 HANA、Salesforce Commerceクラスでは、ホントの本気のECサイトビジネスを支えるための人気のプラットフォームです。
このクラスになるとECではなくEコマースなどと呼ばれたりもします。
プラットフォーム本体の機能の充実度合いや、大量アクセスに対する堅牢性、セキュリティ面、拡張性などでも申し分なく、EC(Eコマース)が企業の業績を支えている状態下においても安心して利用するために選ばれます。
MAやCRMと言ったようなデジタルマーケティングを行うためのツールを駆使し、また高い成長率を追求し、変化の早いビジネス要求に答えていくためには必要となるプラットフォームとなってきます。
よりデジタルマーケティングフレンドリーなアプローチとして、フロントエンドのCMSをECプラットフォームではなく、CMS専用プラットフォームを使い、バックエンドにECプラットフォームを使用するようなケースも今後増えていくでしょう。

なお日本国内限定の話ですが、大規模運営で使われるケースの多いecbeingは比較から外しています。その理由ですが、ソフトウェアは特別大規模仕様にできているわけではなく、人や体制面でそれを可能にしている傾向があるためです。この観点も重要ですが、本記事では製品比較を行うという目的で記述しているため、敢えて外しています。
 一方でebisumartはecbeing一強である中で後発で出てきており、国産プラットフォームとしては最も期待がかかると見ています。

まとめ

このように見ていくと、安価に済むコースから非常に高額なコストを要するコースにはそれぞれ理由があり、例えば売上から考えると、年間売上のおよそ10%ほどが初期投資として当てはまってきます。
また100万円ほどで自社ECサイトを作るというケースなどもありますが、その予算の場合はAmazonなどのプラットフォームで始めるほうが適しているかもしれません。
企業や業種などによって様々ですので、以上を参考にして、使われるべきプラットフォームを選択いただければと思います。
なおフルスクラッチ開発という選択肢もありますが、これだけECサイトを支えるプラットフォームがある中で、本来選択してはいけないものになります。しかし、専門知識がなくプログラマだけ大量に抱えたようなベンダー都合でフルスクラッチを余儀なくされていることも散見されますので、きちんとした実力を持った構築ベンダーと巡り合わせることができれば、最悪の選択となるフルスクラッチは避けられるでしょう。
※ 頼れるベンダーを探すためのチェックリストを公開しています。ECサイト構築ベンダーチェックリスト

最後に、当社ではオープンソース版のMagentoとAdobe Commerceを用いたECサイト構築とコンサルティングのサービスをご提供させていただいております。またその事業だけ行っておりますので、24時間x365日Magentoです。
結果的にMagentoとの関わりは国内においては最長老クラス(もちろんそんなのひよっこだよという当社よりずっと長くやっておられる先輩数名もいらっしゃいます)となり、広告予算をかけてイベントやメディアに露出されMagento案件の獲得を狙う新規参入された企業様が初めてMagentoを取り扱うということとなった際にも、当社は幾度も技術支援など行ってまいりました。
他社様の構築した内容を拝見することも多々ございますが、正しい理解がない実装も散見され、本来できることができなくなっている、動作が不安定になっていると言った状況も多く見てまいりました。
Magentoのコアな情報は英語ばかりで、また機能が多いということはその分管理も複雑となり大変難しいソフトウェアです。
それだけでなくサーバーにインストールする場合は、OSやミドルウェア、ネットワーク、CDNなどの高いレベルの知識も必要となります。(AWSだから大丈夫というレベルの話ではありません。)
Magentoなら当社に!とここで言うつもりはございませんが、この通りそう簡単に取り扱えるものではありませんので、導入される際には、経験豊富なベンダー様をよく見極められることが重要です。またはいっそのことMagentoの上位クラスのパートナー資格のある海外の企業に委託し、またMagento Cloudではなくサーバーインストール型を選択されるのであれば、AWSを専門にやっている企業様もチームに加えた体制が確実性が高いとも思います。

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