日本国内のECサイトにおいては、やはり日本のベンダーが提供するパッケージやASP、クラウドなどの採用事例が大変多く、世界シェアを誇るMagentoの採用事例はまだまだ少ない現状です。
本記事においては、国産のECプラットフォームが世界シェアを誇るMagentoに対し機能面や性能面、安定性、セキュリティ面で勝てるわけがありませんのでその内容については触れずに、各ECプラットフォームの特徴を紹介し、導入検討の際の比較のポイントとして抑えていただきたい内容についてをご紹介したいと思います。

ecbeingはこれまで日本国内での採用実績数1位を誇ってきた有償のECパッケージソフトウェアです。

ecbeingの特徴

  • 導入費用目安: 500万から数千万円
  • ECパッケージ業界最大手というものの、国内事例ではEC-Cubeのほうが多いはずなので有償の中で最大手なのでは?という疑問
  • 年間数百という単位で多くのユーザーが離れていってる – ebisumart(エビスマート)に移行していると考えられる
  • 80名を誇るマーケティング体制
  • 300人の技術者
  • サードパーティの拡張性が乏しく同社のオプションでの拡張にほとんど限られ選択肢がない
  • パッケージ型なので自社向けカスタマイズは無限に可能だが何分カスタマイズ費用が高い

このように業界最大手という意味で、大手企業においては社内稟議を通しやすい理由があります。

SI Web Shopping

SI Web ShoppingはECパッケージとして国内最古参を謳うパッケージです

SI Web Shoppingの特徴

  • 導入費用目安: 数千万円から
  • 発売して以降20年以上の実績
  • 大手SIerが担いでいることが多くパートナー経由になる – 当然大手SIerの高い人件費が前提で、またその中身もSESなど外注で構成されることが明らか
  • ソースコードは公開されている
  • カスタマイズが必須
  • BtoBや定期購入は苦手

最古参であるが故に、それを凌ごうと後から出てきたプラットフォームは導入費用であったり、機能面などでSI Web Shoppingに追いつこうとしているまたは追い抜いてしまっているというのが実情であると思います。
導入価格も数百万円というラインナップはなく、数千万円からという点で、中小企業では全く手が出せないプラットフォームであると言えるでしょう。
その中でSI Web Shoppingを選ぶ理由はやはり担ぐSIerが大手であるという安心感と、SI Web Shippingが誇る歴史の長さにあると思います。

ebisumart(エビスマート)

ebisumart(エビスマート)は日本国内産としては珍しいクラウド型を採用したECプラットフォームです。

ebisumart(エビスマート)の特徴

  • 導入費用目安: 300万から数千万円
  • 価格面やクラウドを採用することの保守性から他の国産プラットフォームからの移行されているケースが増えている
  • APIを公開した範囲での拡張が可能
  • クラウドであるが故に根幹部分の保守についてはメンテナンスフリー
  • サードパーティ製品による拡張がいくらかは可能である

国産プラットフォームとしては比較的新しい部類に入り、これまで多かったインストール型パッケージになかったメリット及び価格面からして人気が伸びています。
ただしクラウド型は他のユーザーと共有の基盤を利用するため、その共通部分のカスタマイズは不可能です。このためAPIで公開された箇所についての拡張に限られるというデメリットがある点は否めません。

EC-ORANGE

EC-ORANGEはオープンソースの国産パッケージであるEC-Cubeをベースにエスキュービズム社がカスタマイズしたECパッケージ製品です。

EC-ORANGEの特徴

  • 導入費用目安: 200万から数千万円
  • 導入実績多数
  • 元がEC-Cubeであるためセキュリティが脆弱
  • EC-Cubeのバグや脆弱性については対応しない

コア部分に採用されているのが無償のオープンソースであるEC-Cubeということもあり、他のECプラットフォーム製品に比べ比較的安価な料金体系になっています。
しかし一番の問題点はそのコア部分に当たるEC-Cubeの脆弱性にあります。
EC-Cubeの度重なるクレジットカード情報の大量流出事故は経済産業省も深刻に捉えており、EC-Cubeを名指しで警告や調査を行っています。当然EC-CubeをコアとしているEC-ORANGEもその危険性を孕んでいる点は見逃せません。
またEC-Cubeには登録許客数や商品点数に応じた処理速度面などの懸念もあり、EC-ORANGEがその懸念をそのまま引き継いでいると考えられます。

COMPANY EC

COMPANY EC(COMPANY E-Commerce)はERPパッケージで有名なワークスアプリーケーションズ社のECパッケージ製品です。

COMPANY ECの特徴

  • 導入費用目安: 数千万円以上
  • ワークスアプリケーション社のERPパッケージと併せオールインワンでの運用が可能 – 反対に言えば同社製品を使ってない場合は選択する意味がない
  • 同社の製品を組み合わせるしか選択がない

以上のように製品として際立った特徴があるわけでもなく、ワークスアプリケーション社のERP製品をすでに使っているケースでは採用されることもあるかもしれません。
ただし非常に高額で中小企業での採用は実質的に不可能、サードパーティの製品やサービスの活用ではなく同社製品オールインワンでの選択が正しいのだと考えるケースに置いては、利用価値があると言えます。

Commerce21

コマース21は大手企業の採用実績No.1を謳うECパッケージ製品です。

コマース21の特徴

  • 導入費用目安: 数千万円
  • ライセンス費用は2千万円から。ただし初期費用を抑える(と言っても1千万円ほどと言われる)廉価版のS5もある
  • Yahooジャパンの傘下である
  • ソースコードは公開されている

やはり中小企業での導入は厳しいと考えられます。
ソースコードは公開されているので拡張性や仕様の把握は比較的しやすいと言えますが、同社の販売するオプションはあるもののその他のサードパーティ製品は圧倒的に少なく、大半は高いカスタマイズによって機能が補填されます。
大手企業にとっては大手企業採用実績No.1という点において稟議を通しやすいと言えるでしょう。

Magento

以上でご紹介した内容と同じような観点でMagentoを見てみます。

Magentoの特徴

  • 導入費用目安(無償版採用の場合): 300万から1千万
  • 導入費用目安(有償版採用の場合): 数千万円から数億円
  • オープンソースであるため拡張性が無限
  • 複数のウェブサイト、複数の店舗を1つの環境上で作成・展開可能
  • Adobeシステムズのラインナップの一つ
  • 過去世界シェアNo.1、現在Shopifyに継ぐ2位
  • 世界中の大手企業での採用事例が豊富な反面、国内事例が少ない
  • 他に比べ圧倒的に多くの機能が搭載されている反面、習得する知識やノウハウが膨大に必要になり複雑であるが故に、日本国内できちんとサポート可能なレベルまで達したベンダーは一握りしかおらず外れが非常に多い

やはり日本での採用事例が少なく、またきちんとシステムをサポートできるベンダー企業が日本には非常に少ない点が国内大手企業にとって採用の障壁となりえます。
しかしその障壁をもってしてでもMagentoのもつ能力を評価し採用する例も増えてきました。
インストール型パッケージとクラウド型の選択肢もあり、それぞれのメリットデメリットを比較して採用する余地もあります。
ただしオープンソースであるためクラウド型といってもバージョンアップなどの変更については、ユーザー側が実施することになるため、ebisumartやShopifyと異なります。
無料版があるという点も大きな特徴です。

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