はじめに
あけましておめでとうございます。
Digital-Freeの柴田です。
2020年を迎え、ますます越境ECのニーズが高まっていくであろうと予想されます。
すでに越境ECでのビジネスを行っている、またはこれから始めることも検討していると言った皆様に少しでも情報提供をさせていただきたいと考え本記事を掲載しております。
それでは以下本文になります。
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この度当社のWebマーケティング強化のアプローチとして戦略パートナーとしてご協力頂くことになった世界へボカンの徳田社長にインタビューを行いました。
世界へボカン様は日本国内の越境ECサイトにおいて国内最高売上額を誇る中古自動車販売のビィ・フォーワード様のECサイトを支援し、30億だった売上を671億(第16期(2018年7月~2019年6月)決算)まで伸ばすコンサルティングを行われた会社様です。
当社代表の柴田が記載している代表メッセージにもある通り、越境ECを国内全体で盛り上げていく必要性に対し、強力な力を発揮していただけることは間違い有りません。
当社でもWebマーケティングのサポートは行っておりますがサポートの幅は限られたものであり、より多くの経験・実績、また業務の幅の広さを持つ徳田社長に、越境ECについてもっと知りたいと思うことをインタビューしています。
Q1. 世界へボカンさんのこと、徳田さんご自身のことについて自己紹介をお願いします。
越境EC、海外向けのBtoBマーケティングに特化したWEBマーケティングソリューションを提供しております。前職を含めると約12年にわたり海外WEBマーケティングに携わらせて頂いております。
「日本の魅力を世界へ伝える」というミッションの元、日本人、アメリカ人、フランス人、中国人といった多国籍のメンバーと共に日本企業の海外進出を支援しております。

世界へボカン様の多国籍メンバー
私たちの特徴としてインバウンド(訪日外国人)向けのWEBマーケティングは一切やらず、「英語」×「日本から海外へ販売する事業」に特化して携わらせて頂いています。
Q2. 越境ECのビジネスに向いている会社はどんな会社だと思いますか?
越境ECのビジネスに向いている会社は大きく分けて3つあります。
1つ目は、海外で売れる商品の仕入れに強い会社
4PのProductに強い会社は圧倒的に有利です。
どんなに優れたマーケターでも商品力の低い商材は海外で継続的に販売する事は困難です。
逆に、海外で需要のある商品を他社よりも低価格で仕入れられる、または他社では仕入れられない商品を仕入れられる企業はきちんとマーケティングさえできれば海外で十分に勝っていく事ができます。
2つ目は、海外にストア、棚を持っている会社
たまにあるのですが海外にストア(実店舗)があり、顧客との接点を持っていたり、棚を持っていたりする会社は強いです。良い商品なのに顧客の手に取ってもらう機会がなく、十分に伝わらない商材は数多くあり、顧客接点を持っている4PでいうPlaceを抑えている会社は越境ECで成功し易いです。
顧客の声やフィードバックを直接聞く事ができるというのは、大きなアドバンテージです。
私たちは顧客の声を聞く為だけに海外でサンプリング会を実施するくらい、現地のユーザーのフィードバックは貴重です。
同じ商品でもターゲットが異なればコンセプト(顧客が得られる未来のベネフィット)も異なります。その為、顧客の課題、アンメットニーズを知ることがマーケティングをする上で最も重要です。
3.自社のプロダクトを海外の顧客に届け生活を豊かにしたいという想いのある会社
これは成功する上で最も重要な要素なのですが、どんなに優れた商品を持っていても、海外に実店舗を持っていても、自社のプロダクトを海外の顧客に届けたいという想いが薄い会社は途中で諦めてしまい成功する事ができません。
Q3. Shopifyのパートナーになられていますが、使われている会社は伸びていますか?
複数の選択肢からShopifyを選び、越境ECに力を入れている企業は伸びています。
逆に越境ECにチャレンジするのに予算があまり確保できておらず、Shopify一択だった企業はその後のマーケティングに予算を割けておらず、売上を伸ばすのに時間を要している印象です。
Shopify、Magento関係なく、越境ECに取り組むという事は海外に販路を拡大するという事なので、ある程度、そこに取り組む予算や時間を確保する必要があります。
ただでさえ忙しいマーケティング担当者様が、越境ECの担当も兼任する事なるとかなり大変です。
国内向けECのKPI目標を達成しながら、新規プロジェクトに臨むとなると、多くの時間を要します。
すると徐々に国内と比べ、軌道に乗るのに時間を要する越境ECに時間を割くのではなく、国内に力を注いだ方が良いのではないかと考えるようになり、越境ECのマーケティングや運用がおろそかになってしまいます。
こういった事になる事を防ぐため、越境ECプロジェクトに会社で取り組む際は、前述のようにリソースを確保する他、越境ECへの取り組み自体に評価制度に加える等、会社としてバックアップする体制を整える事が必要となります。
Q4. MagentoではなくShopifyを多く使われている理由はなんですか?
多くの企業がコストとベンダーの多さを理由にMagentoではなく、Shopifyを選んでいると思われます。Magentoが優れたプラットフォームだという事を伝える人、使えこなせる人が圧倒的に少ないせいですね。
逆にShopifyはMagentoほど拡張性が高くないかもしれませんが、「小さく始めて大きく育てる」というキャッチコピーにあるように簡単にECサイトを構築でき、サイトのスケールが大きくなるまで使えるのが特徴です。
国内でいう、Baseのように個人商店の方も始めやすいプラットフォームとして使われています。
Q5. 今までどれくらいのWebマーケティング・コンサルティングを行ってこられましたか?
海外WEBマーケティングでいうと2008年から12年間携わらせて頂いておりますので大小プロジェクトを合わせると300社くらい経験しています。
本当にスポットコンサルティングとして入らせて頂くプロジェクトから9年以上入らせて頂いているプロジェクト迄あります。
私たちが海外WEBマーケティングのコンサルに入らせて頂く際にポイントが3つあります。
1.実行して頂ける
私たちも限られたリソースでクライアントの成果を伸ばして行きたいという一心でコンサルティングに入らせて頂いております。その為、アドバイスさせて頂いた事を実装して頂く事がとても重要です。
時折、アドバイスをさせて頂いても実行して頂けないケースがあります。実行して頂けない理由も複数あり、コンサタントの実力不足というのも一つの要因です。
クライアント側の要因で実装が難しい場合は一度、契約を解消させて頂き、改めてリソースを確保して頂けるようになってから再開するという事もございます。
2.自社のプロダクトに想いがある
自社のプロダクトを海外で販売していく事で、現地の人の生活が少しでも豊になるであったり、自社のプロダクトを海外のこういった人に届けたいという想いがある方を応援しております。
3.覚悟がある
前述のように越境ECや海外BtoBマーケティングは国内と比べて難易度が高いです。海外の顧客のインサイトやアンメットニーズを調査し、彼らにフィットした戦略の立案や戦術施策(コンテンツ、SEO、運用型広告、CRM)の実装が求められます。
その為、最終的にはどんなことがあっても海外で必ず成功していくんだ!という「覚悟」が求められます。
Q6. またその越境Webマーケティングの成果は実際どれほどのものなのでしょうか?
海外向けの中古車販売をする会社様の事例では9年前にコンサルティングに入らせて頂き、年商35億から671億まで伸ばす事に成功いたしました。
京都のお茶屋さんの越境ECの事例では私たちが携わらせて頂いた際は年商数百万円台から数年で20倍に伸ばす事に成功いたしました。
それぞれの企業が成功した要因は、この市場で成功するんだという熱い想いと諦めずに続けたという事が大きいです。
困難な事は山ほどありましたが、それでも自分がやらなくて誰がこの市場でこの商品を世に知らしめるんだ!という想いがある方が成功しています。
Q7. 越境ビジネスは国内需要が小さくなっていく以上日本国内のすべての会社がやらなければいけないと思うのですが、なぜまだチャレンジする会社が少ないと思いますか?
越境ECに着目する企業は多いですが、越境ECサイトを構築する企業、越境ECのマーケティングができる企業が圧倒的に少なく、需要過多になっている事も一つの要因なのではないかと考えています。
簡単に言うと、自分の周りに専門家がおらず、誰に頼ったら良いか分からないという方が多いように思えます。その為、出会う方、出会う方に「海外WEBマーケティングをやっている企業ってほとんどないですよね」と言われます。
Q8. そういった会社が今後越境をビジネスとして進めていくにあたって必要だと思われることを教えて下さい。
正直、越境ECについては覚悟が必要なので、私たちが啓蒙してやって頂くというよりは、必要に迫られえる事があったり、企業様がやらなくてはならない!と覚悟が決まったタイミングにお力添えさせて頂く形が良いと考えています。
今、私たちができることは海外WEBマーケティングの難しさと何をやらなくてはならないかを発信し続け、覚悟を持たれた企業様に全力で支援させて頂く事だと考えています。
Q9.企画段階から売上目標達成までの各ステップはどのような形となるのか、ざっくり教えて下さい。
- 1.調査
- 2.ターゲット国の選定
- 3.戦略立案
- 4.サイト構築
- 5.テストマーケティング
- 6.プロモーション
- 7.改善(PDCA)
という手順で進める事が多いです。
1.調査
調査では、主にSTP分析、3C分析、4P分析を行います。
詳細は海外進出に「覚悟」を持って取り組んでもらう為の戦略共想プロセスをご覧ください。
2.ターゲット国の決定
調査の結果、自社の製品がどの国のどういった悩みや課題を持った人に届けたいのかを定めていきます。
3.戦略立案
ターゲット、市場でのポジショニング、顧客提供価値、差別的優位性が整理出来た事で、⑴誰に⑵何を伝え、⑶どのように思って貰い、⑷どういったアクションをして貰いたいのかがクリアになり、サイトの構築をする事が可能になります。
調査、戦略立案が重要なのは、海外販路拡大するチーム全体で「自分たちがこの方向性に向けて頑張っていくんだ!」という共通認識を持てるようになることにあります。
戦略とは、戦を略すと書きます。つまり、戦わずに勝てる方法を見出すという事なので、戦略を立てずに海外市場に進出しようとするという事は裸で戦に挑むようなものです。調査、戦略立案に時間やコストを投下する事でその後のマーケティング予算を大幅に抑える事になります。
4.サイト構築
③を元にワイヤーフレームを引き、言葉を紡ぎコピーを用意していきます。ターゲット像がクリアなため、サイトのデザインを決めていきます。
この時に誰に向けたサイトなのかを共通認識が持てている為、感覚的なフィードバックというよりは、彼(彼女)にはこのコンテンツが先にあった方が良いというようなコミュニケーションが制作チーム、クライアントとする事ができます。
5.テストマーケティング
1.2.3.で立てた仮説を検証していくのがテストマーケティングです。
まずは、このキーワードで検索しているユーザーの1%は購入してくれるだろうという確度の高いキーワードを選定し、広告を配信する事でサイトのパフォーマンスを検証していきます。
6.PR
5.で一定数コンバージョンが獲得できれば御の字ですが、D2Cブランドや認知の低い商材の場合は、まずPRが必要です。
インフルエンサーに商品の使用感を説明して貰ったり、商品のカテゴリーで知名度のあるWEBメディアで露出し、Googleの検索結果やYoutubeの検索結果で商品名、ブランド名で検索した際に自社で用意したコンテンツ以外の客観的なコンテンツが表示されている状態を作る必要があります。
顧客が自発的に商品のレビューをしてくれたり、メディアが取材をしてくれればとてもラッキーですが、ほとんどの場合、こちらから働きかけてレビューや紹介をお願いしたり、プレスリリースの配信をして知ってもらう必要があります。
7.改善(PDCA)
PRとプロモーションを恒常的に行い、ターゲット国でその商品カテゴリでの第一想起を目指します!
Q10. 最後に言いたいこと・アピールしたいことを好きな内容で喋っちゃってください!!
越境ECや海外向けのBtoBマーケティングを行うという事は、国内の販路拡大の時と同じ、またはそれ以上に困難な道のりです。
その為、時間、人、お金等のリソースを適切に割かなければ海外販路拡大は成功できません。ただリソースを割くのではなく、「適切に」割く事が重要です。
これから内需の減少に伴い、海外に目を向ける企業は増えており、御社の競合は着々と準備をしているかもしれません。自分の業界の周りがはじめてからでは遅いです。常にファーストペンギンとなり、チャレンジし、継続している企業が成功しています。
販路拡大の「覚悟」が決まりましたら、是非お声がけください。 – 世界へボカン様お問合せフォーム
この記事を読んでくださったあなたの「覚悟」を叶える為に私が全力を尽くします!
著者プロフィール

世界へボカン徳田祐希社長
イギリス留学を経て、海外Webマーケティングを行う企業に入社。外国人マーケターと共に海外Webマーケティングチームを牽引する。特に英語サイトのSEOに精通し、東京だけでなく、新潟、京都、大阪、名古屋、福岡等、日本全国を飛び回り、クライアントと膝を突き合わせ、Webコンサルティングを行うスタイルを得意とする。海外Webコンサルティングで、アフリカ向け中古車輸出企業の売上を30億円から500億円に導く等、中古車輸出、製造業、不動産関連のプロジェクトで数多くの実績を残す。2014年8月に世界へボカン株式会社を設立。ECzineで越境ECコラムを連載。